理論・計算系
- 地球温暖化時における気候変化に関する研究
地球温暖化の見積もりは、数値モデルを用いて活発に行われていますが、その影響はモデル間の差が大きく、まだ把握されていません。
本研究では、地球が温暖化したときに雲や雨などの量がどのように変化するか、様々な数値モデルの結果を収集し、コンピュータを使って比較・研究します。
- 各シナリオごとの全球地表面温度上昇の見積もり
- 氷雲における非球形散乱の影響に関する研究
雲粒による散乱は、計算を簡単にするために球形と仮定している場合が多いのですが、氷粒子は針状、柱状、板状など様々な形をしているため、実際の影響とは異なっていると考えられます。
本研究では、雲粒を非球形粒子として取り扱った場合の影響を、コンピュータを用いた数値計算で解析・研究します。
- 左から光が入射したときの散乱位相関数(赤が球形粒子、緑が六角柱、青が回転楕円体)
- 放射計算における雲の不均質性に関する研究
地球大気の放射計算では、雲を格子状に切り分け、直方体の形に近似しますが、 雲の鉛直分布・水平分布については様々な近似手法があります。
本研究では、その計算結果を観測や詳細な放射計算と比較し、より現実的な雲の放射場が得られる手法について研究します。
- 3次元放射伝達モデルで計算された不均質な雲(http://www19.atwiki.jp/mcarats/ より)
- 雲とエアロゾルの相互作用に関する研究
エアロゾル(大気浮遊微粒子)は、大きく分けて2つの効果(直接効果と間接効果)により、地球のエネルギー収支に影響を及ぼすことが知られています。
直接効果はエアロゾルが直接太陽光を吸収・散乱することで地球に入射するエネルギーを変化させます。 間接効果では、エアロゾルが雲の核となって雲の光学的性質を変化させ、これによってエネルギーを変化させます。
本研究では、衛星データを利用し、雲とエアロゾルの相互作用について研究し、これが地球のエネルギー収支にどのように影響を及ぼすのかを研究します。
- エアロゾル直接効果(左)と間接効果(右)
観測・実験系
- シーロメーターによる海洋上の雲の研究
地球と宇宙の間のエネルギーバランスは、雲の特性に強く影響を受けています。最近の研究では、雲の特性を定量的に理解するために様々な手法(地上・船舶観測、衛星観測、雲解像モデル)が用いられています。
シーロメーターは、雲底高度を観測するライダー(レーザーレーダー)のことを指します。本研究では、船舶に設置したシーロメーターから得られた観測データを解析することで、海洋上の雲の研究を行います。 解析結果は、大気と海洋の相互作用を理解するための基礎データとして活用されます。
- シーロメーターによる観測で得られたデータの一例