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村山隊員(第52次南極観測夏隊)の南極フォト日記

2011/01/01以降の記事はこちらからどうぞ。
2010/12/31:いよいよ接岸

今日、昭和基地沖に接岸するというアナウンスが昨晩流れた。 仕事のついでに艦橋に上がって聞いてみるとやはり他の島の影になって今は基地が見えないとのことであった。 大体が基地が東オングル島の沿岸にある。面白いのは周辺ぐるりと日本名の地名が付いていることだ。

日本は違うが国によっては基地周辺の領域は固有の領土だと主張している国もあるらしい。 もちろん国際的には認められていない。 いずれにしても船にいても基地にいても、日本社会があるのには変わりない。 気の合う人が居れば心地良く、合いそうもない人が居れば避ければいいだけのことである。 異境ではあっても異国ではない。

さて、昭和基地が見えないので昨日のはやり10時のワッチにしらせの人が教えてくれて撮った、銀色に光るペンギンの写真を送ろう。 その雰囲気はあまり出ていないかもしれないが、夜10時ともなると日はある程度傾くので、 その太陽光線にペンギンのお腹が照らされると銀色に光り、美しい。 今晩は05甲板で「除夜の鐘」がつけるそうである。よいお正月を。



2010/12/30:もうすぐ昭和基地

昨日のメールで取りこぼしのペンギンの隊列の写真送ります。 向きによって真っ黒だったり、白黒だったり船で移動して見ていると面白いです。


次は餅つき大会の後の隊員公室に置かれたお供え、同じようなものは神棚にも置かれていますが、 お札は富士山の浅間神社のものなので地元出身としては嬉しい。 それから、艦ではお弁当やパーティーのときは必ず、おみくじ付き割り箸を使うのであるが、 僕はそれを毎回取って観測ノートに貼っておくおくことにしている。 昨日あった忘年会では大吉を初めて引いた。アドバイスに「愚を装って身を守るが賢」とあった。



2010/12/29

艦内は海上自衛隊員さんの配慮で普段よりらしいクリスマスを迎え、そして年の瀬、お正月を迎えようととしている。 きれいな門松が観測隊員寝室から隊員公室へ行く通路の両脇に飾られた。


昨日は海洋観測Gの観測補助の合間をぬって、餅つきに参加した。 餅つきをするのは大学院生の頃以来だろうか?しらせの隊員さんが杵を折ってしまうハプニングもあった。 その後に食べたお餅は色々な付け合わせやお雑煮も含めて最高においしかった。 写真に写っているのは夏隊の庶務担当のOさんである。 ドイツにトライアスロンまで出かけるアスリートであるが、マラソンだけなら3:40で完走(キッパリ)するようです。


昨日は観測観測Gがゴンドラに乗って船のほぼ真下にクレーンで降り、氷を海水に達するまで厚さを測る作業を一日していたが、 やはり好奇心旺盛なペンギン達がやってきました。 これも写真に撮ったのですが、夜10時のワッチのときあざらしが居たのでその写真を添付します。 よく見るとこっちを向いています。 ラミング回数は今日10:00に1000回を越えたが、もう昭和基地も近くに見え、年内には接岸するのではないかと思われます。 ラミング回数当て表には「ラミングや 抜き去るペンギン 3ノット」と書かれています。 進んでは戻りを繰り返しながら進むので動物の写真を撮るには絶好です。



2010/12/28:はいはいするペンギン

昭和基地も双眼鏡や肉眼ではっきり見えるところまで近づいてきました。 昨日の予定では1/3接岸です。今日は午後、しらせ内で餅つきがあるのですが、 観測隊の割り当て時間に間に合うか海氷観測の補助があるので微妙です。 「しめ縄」は観測のため作れなくなりました。

昨日の夕方は晴れたのでカメラを持って1甲板に出たのですが、早速、4匹のアデリーペンギンの列に会いました。 大体、先頭の1匹についていく習性があります。それから効率がいいのか結構、腹ばいで移動します(コオテイペンギンの方が顕著な気がします)。 何回見てもかわいいと思います。では、年末年始の冬休みリフレッシュされてお過ごし下さい。




2010/12/26:しらせが起こす交通事故

今日も仕事が沢山あって汗かいたけど(曜日感覚もうないもんね。 だから、金曜日の昼は海軍カレーなの知ってた?)、快調に2本目のメール。 南極で交通事故は昭和基地での対物事故ぐらいかと思うかもしれませんが、半世紀も続く南極観測航海では、 流氷域で結構、あざらしが観測船に轢かれたことがあったらしいです。 あざらしだけが動きが鈍くて真上をしらせが通ったかと思うときがありました。 添付写真は観測隊ヘリが発飛行する間、停船しているしらせの前でずっとじっとしていたあざらしです。 でもペンギン博士(もう野外観測に出かけてしまいましたが)が言うには、あざらしには獰猛な種類のもいて、 ペンギンを追いかけて食べてしまうのを見たそうです。 本当は大型の飛ぶ鳥を撮りたいんですが、数が少なく機会に恵まれないので、代わりに携帯で撮ったペンギンを送ります。 これもしらせの真下に居たんだけどさすがに解像度悪くて、 おまけです(携帯電話は時計、万歩計、カメラとして役立っています)。




2010/12/26:ザ・ヘリコプター

海洋電子機械工学科のメカ好きにはたまらないヘリコプターの写真を送ろう。 最初の写真では格納庫に納められている先に紹介した海上自衛隊の大型ヘリコプターCH-101が、 格納庫に納めらときはブレードと尾翼部分がたためられコンパクトになっていることがわかる。

2,3枚目は観測隊で用意した小型ヘリコプター。 いつも格納庫の奥に納められ、2台のCH-101の後でこぢんまりしている。 フランス・アエロスパシャル(現在はユーロコプター)社製のAS3508で、 定員6人、640馬力、積載容量540Lであり、Main rotor, Tail totarはそれぞれ385,2050rpmで回る。 尾翼の回転数は早くて見えない。我々はブレード3枚の取り付け・取り外し作業を3回くらいは手伝ったかな。 ブレードは繊細で非常に注意が必要な作業である。





2010/12/24:南極大陸

皆様、絵は描いていますか? 僕は船内Webの掲示板で「しらせ水彩スケッチ」の会の立ち上げを呼びかけたのですが、 誰からも反応がありませんでした。 ですが、大学の後輩の一人が艦橋から、ボールペンでノートに氷山のスケッチをしているのを見て安心しました。 私は写真を沢山撮っておいて、これはというのを帰ってから絵にしようかと考えをスイッチしています。 外気では数分が限度ですから。さて、クリスマスの今日・明日「しらせ」での食事に期待したいと思います。 今日もヘリ輸送作業が続き、午後には観測隊の小型ヘリのブレード取り付け作業を我々も手伝います。

写真の1枚目はしらせから見える南極大陸の高地です。雪の無い大地の地肌が望めます。 2枚目は昼のヘリオペのため停船しているしらせ船首直下に見えるラミングによって、 船体のオレンジ色のペンキが剥げて氷に付着している図です。 4月上旬のしらせが晴海に帰ってくる頃は、あのトレードマークのオレンジ色の船底はボロボロになっているそうです。 私の体内時計は完全に狂っており、今日も2時台に目が覚めてしまい、朝食の時間まで仕事をしていました。眠い。




2010/12/23:夜間は砕氷航行続く

よいクリスマスをお過ごしでしょうか?ここしらせでも明日の晩にはケーキ出ないかな? さっき21時の海氷観測のワッチに1甲板に出たら直ぐ目の前にアデリーペンギンが1匹いました。 日が少し赤みを帯びますが夜も明るいので、常にカメラを持ち歩かないとシャッターチャンスを逃してしまいますね。 そんな赤みを帯びた日に映る定着氷上の氷山、そしてラミング中のしらせ後方の写真を送ります。

昼には観測隊員のほとんどが昭和基地その他に大型ヘリコプターで輸送され、船内の観測隊員数は10名程度となった。 本山さんもドームふじに出かけたので、僕は一人部屋でノウノウとしている。




2010/12/23:さらにペンギン

今朝、例によって早く起きてしまって(2時台)、艦橋に遊びに行ってから、 隊員公室のHDDにある映画を見ていたのだが、気がついたらソファーで眠っていて映画は終わっていた。 そしたら宮本越冬隊長が「ペンギンが沢山いるよ。」とやってきたので、 早速カメラとビデオを持ち出して撮りに行ったのだけれど、 逃げるペンギンの方がラミング(チャージングとも言う)するしらせの方が遅いのでどんどん遠ざかってしまった。

今日は天気の良く、予定通りヘリでの輸送が始まり、既に第2便まで出た。 合計で14便まで出てほとんどの隊員が昭和基地やその他の基地、野外活動の拠点へと移動して行く。 我々、海洋観測グループのみしらせに残る。




2010/12/22:今日は晴天

さても今日も快調に2本目ですが、今日、整備の終わった海上自衛隊の ヘリコプター#91はしらせの周りを試飛行してきました。 これは艦から出て行くときの写真です。 氷原にはヘリの影が映っていました。 1/2000秒のシャッタースピードで撮るとローターは止まったように写ります。

それからこの間のアデリーペンギン35匹(多分)の団体さん、 あの写真ではあまりにも荒いと思ったのでそれぞれの仕草がわかるように切り出したのを添付します。 ちょっとこのところネタが被っていますね。




2010/12/22:昭和基地が見えた。

そう言えば今日は日本では冬至ですね。 こちらでは夏至に相当する訳ですが、朝食にかぼちゃの煮物が出たのはそのせいでしょう。 昨晩、ラミング中に左舷前方に昭和基地を双眼鏡を使って確認することが出来ました。 陸上に建物らしい構造物と数本の高いアンテナが見えたのです。 その写真もあるのですが、あまりにも基地はわかりにくいので、 今日は砕氷航法するしらせの写真と現在の位置を示す図を添付します。

図には昨年の航路が灰色の線で書かれています。私は気管支炎がやっとよくなりました。 あまりにも乾燥している(東京の冬と変わらないくらい)ので、指先にヒビ割れができ、 ワリセンや薬用ハンドクリームを塗って対応しています。風邪にご注意下さい。 今日は一日もう一機のヘリの試飛行などの作業の後、夜2015から耐寒訓練なるものが甲板にて行われるそうです。 当然、私は出ません。




2010/12/21:逃げるペンギン

今日は2通目となりましたが、砕氷航行(ラミング)しながら走る「しらせ」は大 きな騒音を立てていますから、どうしてもペンギン達は近づくと逃げてしまいま す。そんな姿をお送り致します。アデリーペンギン達はお互いに会話をしている ようで、とてもかわいいです。でも鳴き声は「ギャー」といった感じでお世辞に もかわいいとは言えません。誰かが鳴き真似をすると、その声で近づいてきたん だよと言います(ほんとかな?)。(^o^)





2010/12/21:砕氷航行続く。

定着氷についてから、氷山を間近に見ながら氷原を砕氷航法(ラミング)しながら 進むことが多くなった。最初に見たときはその大きさに圧倒された。高さは50m はあるだろうか?テーブル型氷山では長さも半端ではない。日が沈まないのでい つまでも風景が見えるが、氷山のブルーの影が美しい。

それから前に書いたと思うが、雲に夕日が沈んだ14日は自分も緑色が見えた(グリーンフラッシュ)と思っ たら、風呂場で一緒になった宮本越冬隊長は写真に撮ったといい、周辺では皆見えたということであったから、 雲に夕日が沈む場合はグリーンフラッシュは見えないという先入観があってカメラを構えていなくて残念だった。 だがあのとき緑色に一瞬光ったという自分の眼は確かだったのだ。 今度は帰路だねと宮本さんには言われた(彼の家の前は大和幼稚園で家の2人の子供が通った)。 同じ中野区民とか同じ大学の同じ学部出(後輩しかいないわい)とかやたら重なりが多い。

2枚目は艦橋に置かれた祝・定着氷縁着のパネル(Cというのは時間帯を指す。 船の人はチャーリーとかCを間違えないように呼ぶ)。 今日は風も強く残りのヘリの試飛行は出来ないので、昭和基地に向かってラミングが続く。 結構、振動はあるが、揺れはが海が荒れていたときよりは少ない気がする。




2010/12/20:ヘリの試飛行

しらせでは先のメールで書いた大型ヘリコプターCH-101を2機搭載している。 今日は昨日に続き停船し、一日かけてヘリコプターの試飛行等を行い、 夕方から再び砕氷航行(ラミング)に入って、最終の停漂泊地点まで移動する予定だ。今日の午後、 #92が試飛行で飛行甲板を飛び上がったときの写真を添付する。 周りに下の海氷からの雪や氷片が舞い上がっているのがわかる。

もう一枚はしばらく前の静かな流氷域海面に映る壮大な巻雲を示す。南極の自然は船から見る限り、壮大 の一言だ。




2010/12/19:定着氷縁着

今朝、昨日から霧が晴れてから衛星データなどを考慮し、ルートを検討し砕氷航 行を続けた後、遠回りをしたものの遅れがなく予定よりも早く定着氷縁に達し た。ここから昭和基地まではそれほど遠くないので、早く基地で働く人々の輸送 を先にこの位置から行ってしまう。それを第1便という。今日は久しぶりに天気 も良く(昨夜から白夜帯に入っている)、午前中は格好の写真日和となった。合わ せたようにアデリーペンギンが遊びに来た。

今日はそのかわいい姿と団体さん、及び自衛隊が使用するヘリコプターCH-101の写真を送ろう。この大型ヘリは英・ 伊共同開発で、4トンの荷物を載せ、速力240km/h、航続距離850kmの性能を持つ。今日はプロペラを取り付けたりと整備に大忙しだ。(今日は写真の大サービス)







2010/12/17:In addition

もう日本ではクリスマス(商戦)一色の頃ですね。 既にしらせは定着氷域に近づいていて、ヘリコプター輸送による昭和基地やその他周辺基地、ドーム隊、 野外観測隊員の輸送が始まるはずである。 こういう野外観測行動に出る人達は20日や40日間くらいお風呂にも入らず、テント生活や雪上車での生活を余儀なくされる。 だから昔は南極観測隊員はほとんど山岳部員でもあったいうような豪傑が多かった。

現在は、極地研究者は必ずしも山岳登山経験者でもないので、そのような野外観測支援を専門に行う隊員もいる。 今回もクライマーであるH氏が50次に続いてその役割を担う。彼の目はとてもPureである。 「全体が緊張感を持っていないといけない。」と繰り返して言う。 世界で初めてネパールのある山を登頂したH氏はそんな後方支援組であるが、決してすごぶることのない魅力ある人材である。

添付写真は昇る四角い太陽、流氷域に写る巨大な「しらせ」の影である。




2010/12/16:ついに!

ついに流氷原を航行中のしらせから、ついに待望の動物を撮影することに成功しました。 一枚目からアデリーペンギン、アザラシ、コウテイペンギンです。風景と同じく何とも分かり易いのです。 1匹だけでいることが多いのがコウテイペンギンで、一般にペンギンのイメージと一致するピョコピョコと子供みたいに群れ を作って動き回るのがアデリーペンギンです(かわいい)。アザラシの背には太陽 光が当たって銀色に反射しています。これらはいずれも05甲板(艦橋)から撮った もので、もっと慣れてくれば、直近で撮ったものが送れると思います。ですが、 初物を味わって下さいませ。





2010/12/15:流氷縁に入った。

流氷の漂う南極海を9ktぐらいで静かにしらせは昭和基地に向け航行している。 初めて見る幻想的な風景である。海鳥が船と一緒に飛んでいる。 彼らは船の周囲に生じる上昇風をうまく利用して飛んでいるのだ。 既に真っ白なユキドリも見かけた。 今はCake Iceと呼ばれる氷盤に支配されている。着氷縁に達するまで形状や重なりが変化していく。 それを我々は一時間毎に記録している。

昨晩は21:23が日没であったが、今日2時の観測のときは既に明るくなっていた。 昨夕はしらせの進む方向に太陽が沈んで行き、晴れ間もあったので一昨日に引き続きグリー ンフラッショが期待された。 艦橋に一時間くらいカレラ・ビデオ・双眼鏡を持って日没を見守った。 雲の上に太陽が沈むとき、少し緑色に光った気がした。隣の通信のTさんも、緑が見えた気がするという。 雲の上に沈む場合は無理かと思ったけどそんなことはないのかもしれない。 残念ながらカメラは構えていなかった。氷盤と氷盤の間の水面は鏡のように空を反射していることがある。何を見て も初体験で感激している。



2010/12/14:流氷縁に入った。

今日の18:30頃、しらせは59.17degS, 45.30degE付近にて流氷縁に入った流氷は どんどんその数と海に占める割合が南進するにつれ増えていく。 最後の昭和基地(68S, 39Eぐらい)接岸に向けてのルートに入った。

海洋観測グループは船上海氷目視観測に今日の15時から定時に入り、私の担当した19時に初めて海氷密度5%を記録したが、20時には40%くらいは行きそうだ(寝室の丸窓から海を眺めた感 じでは)。今晩も24時に時刻帯変更が行われ、最終的に明日は昭和基地と同じ時刻になり日本との時差は-6hとなる。 私のワッチ時間は07, 08, 17, 18hである。



2010/12/14:今日は快晴

現在、既に船内時間は日本時間−5h となっております。 先にメールした芹澤さんの撮ったグリーンフラッシュ及びブルーフラッシュの写真は12/14の産経新聞 に「幸せ招く”青い太陽”」として掲載されたました。 ということはYahooにも出ていると思うので検索してみて下さい。

今日はまだ晴れているので日没があるなら最高の日没太陽ショーになるに違いない。 また、朝8時半くらいに大きな氷山の側を通過しそうなのが艦橋に居て、艦長の話やレーダーのデータを見ながらわ かったので手持ちのデジタル1眼レフを持って、06甲板で50分くらい前からチャンスを芹澤さんと狙っていました。 一昨晩の芹澤氏の「カメラ使い方講座」で教わった技術を応用しました。

1枚目は前日の雪に覆われる01甲板(この後、自衛 官による雪かき作業も入った!)、2枚目は今回1番の氷山の写真です。この 後、もっと面白い写真が撮れるということなので乞うご期待を。




2010/12/13:クリスマスツリーが出た

日本ではクリスマスムード一色というメールも頂いていますが、 なんと本日昼頃、隊員公室の前に電飾付きのクリスマスツリーが飾られました。 とても綺麗なので、臨海小の卓球チームの女性メンバーに晴海出港時に頂いたディズニーランドで購入のミッキー・ミニーのチョコレートクランチの入った缶と一 緒に写真を撮ってもらいました。 少しボケ気味ですが、着ているのは隊員共通の黒のジャンバーです。 後に並んでいるのはAEDなどの緊急救命器具類です。よろしくお願い致します。



2010/12/11:さらに西へ

先日はお見苦しい写真を送りまして、お詫び申し上げます。 さて、今は小雪が舞っていますが、薄曇りで太陽が透けて見えます。 こういうときは雲も巻雲という氷雲が多いのです。 昨日も気象庁観測部の方が南極での典型的な高度の応じた雲の種類を講義で述べていました。 逆に雲の高度は雲の種類から経験的に判別しているようです。 このような雲量、雲の種類の航海ログノートへの記入はしらせの気象海象室でも同様な方法を取っているようです。

私のしらせに搭載した2台のシーロメーター(雲底高度計)は、 レーザーレーダー(ライダー)の方式を使って雲底高度を判定します。 その高度分解能は10mで最大判定雲底高度は一台は7.5kmまで、もう一台は13.0kmまです。 雨、霧、雪それぞれの気象、海象での信号特性や信頼性などを評価でき、今回の航海は実際に乗船して良かったと思っています。 私が宣伝したお陰で、今ではしらせのワッチの人もシーロメーターでの雲底高度を参考に時々見に来ています。

さて、専門的な話はおいておいて、昨日も24時に時刻変更があって現在の船内時間は、日本時間−4h です。 高緯度を西へ回転するように航行しているので、時差の変化が早いのです。 日本時間12/11、15:26, 73.79E, 59.06Sを11.6ktにて航行中です。 しばらく写真を送っていないので、先月のも含めて添付しましょう。

1枚目はインドネシアからロンボック海 峡を抜けてインド洋に抜ける際に見たバリ島にある富士山のような山、2枚目は 12/9に撮った氷山です。もう少しして流氷域に達したら、海洋観測グループは海 氷目視観測に入ります(ワッチ表は既に出来ています)。




2010/12/07:氷山、海鳥、氷縁

今日で6日連続になる往路の定点海洋観測も、朝7:00からの観測を持って無事終了いました。 途中、機器のトラブルも発生しましたが、まさに総合力で解決しました。 今朝まで雪が降り続き甲板には雪が積もっていましたが、次第に天候は良くなっています。 観測時に見た2つの並んだ氷山と向こうに見える氷縁の写真を添付します。

現在、61.51S, 109.3Eを西北西に進路を取って昭和基地に向かっています。 最終的には日本との時差は-6時間になります。 不思議だったのは氷縁に近い方がプラクトンが多く、小さなオキアミまで入っていました。


2つの氷山

氷縁

2010/12/06:初氷山

皆様、本日、船内時間16:51(日本時間で18:51)に氷山が初視認されました。 見ているうちに遠ざかっているのですが、視程が良くなり氷山の輪郭と影がより はっきりと見えるようになりました。テーブル型氷山と言うそうです。


初氷山

2010/12/05:南緯55度通過

本日、日本時間で約12時頃、しらせは南緯55度を越え、南極圏に入りました。 もう、この先は南極着氷域に行くしかないのです。相変わらず経度110度線に沿って、朝7:30から海洋定点観測が続いています。 添付写真の1枚目にはCTDという塩分濃度、温度の深さ方向の計測と採水用装置とプランクトン採取用ネットが写っています。 手前に居る小達さんはこの海洋観測のリーダーで極地研の人ですが、本学の向かいの官舎に住んでいて、 帰宅時にばったり清澄通りで会ったときはびっくりしました。他にももう一人の52次観測隊員がこの官舎に住んでいます。

2枚目は南緯55度線越えた後の海の様子を示しています。霧で海の向こうは乳白色に霞んでいます。 3枚目は最上甲板(06甲板)でシーロメーターの保守を観測隊員の仲間と航海士が付き合ってくれて行おうとしているところです。 この航海士さんとは士官室で晴海−フリーマントルまで食事を一緒にした仲間なので、顔なじみです。

さて、いつ氷山は見えるのでしょうか?観測中は停船しているのですが、近くで見ると驚くほど大きいアホウドリが船のまわりを悠々と滑空しています。


CTDと海洋観測リーダーの小澤さん

南極55度通過

シーロメーターメンテナンス中

2010/12/02:荒れる海

日本時間でいうと現在、12/2, 16:22 (2時間の時差があります)南緯41度を越え、ほぼ経度110度を真っ直ぐ南進していますが、 出港後からの揺れはさらに大きくなっており、時折、地震のような縦揺れもあります。まだこれから先、本物の暴風雨圏が待っています。 晴海から乗船してきて少し慣れてきたためか、私自身は全く平気です。

添付写真は艦橋の窓を通して見た船首で砕ける前の波頭の写真です。 これが風に煽られて艦橋にまでしぶきが飛んできます。3人で最上甲板で作業をしているとき、このしぶきを受けました。思わず後向きになりました。

今朝、早朝から海洋観測が始まり、CTD、表面採水、プランクトン採取用のネットの投下などの作業を海洋観測グループの一員として手伝いました。 そのご褒美か今日の昼食は豪華でT***ステーキが出ました(しかも箸のみ食べられるように切ってあるところがすごい)。 経度110度線に沿っての海洋観測はしばらく続きます。


荒れる海

2010/11/29:フリーマントル入港

ご無沙汰しています。11/24にオーストラリア西端・フリーマントル港に入港し、投錨泊後、翌25日からフリーマントルに停泊しており、明日、30日午前に南極に向け出港します。 25日には他の隊員70名以上と合流し、観測隊員室は大所帯となりました。当地での目的はこれからに向けて「英気を養う」こととなっており、 連日30度は越すと思われる晴天日の中、乗組員さんも含めほぼ毎日外出されています。

自分は実はあまり写真を撮ることが好きではないのですが、フリーマントル駅、近くのパース市のモール街、しらせの極近くの小さなビーチから見るインド洋の写真を添付します。 ここの海は潮の香りが全くせず、エメラルドグリーンのきれいなビーチがあちこちにあります。


フリーマントル駅

パース市モール街

フリーマントルビーチ

2010/11/18:赤道通過と赤道祭

赤道付近には無風地帯があり、島に囲まれているせいもあるかもしれませんが、確かに海面は今までと打って変わって湖のように穏やかでした。 このような状態が昨日の朝から見られました。明日昼頃にはロンボック海峡を抜け、インド洋に出るようです。 19時現在、既に南緯4°を越えています。

今日は赤道祭という船員全体でのお祭りがありました。午前中の第1部では赤道門を開ける鍵を得るまでの寸劇が行われ、自分は偽艦長の役をやりました。 具体的には赤鬼とのパン&牛乳早食い競争になっており、なんとか勝たせていただきました (赤道神と赤・青鬼としらせの艦長・副長は対決して赤道を開ける鍵を得るということです)。

説明によれば「大航海時代」からそのような儀式はあり、さらに艦長によれば、日付け変更線を船で越える場合にも似たような儀式が行われるとのことです。 各部署による午後の第2部がどのようなものであったかはご想像にお任せしますが、 新しらせはAGB5003と呼ばれるため、AKB4Xとダブらせた出し物が多かった、という程度に留めておきます(歯科医は唯一の女性であった)。

なお、ついでいうと医務長の森田さんは現在、海事システム工学科3年の渡辺さんのお母さんに、呉の病院に居たときに大変お世話になったそうです。 世の中広いようでどこか繋がりがあるようですね。


ロンボック海峡を抜けインド洋へ

赤道通過時刻

赤道門

2010/11/16:熱帯の空と艦内生活他

皆様、現在しらせは順調にフィリピンの島内を通過中で(北緯4°くらい)で最後にはセレベス海峡を抜けてインド洋に入ります。 両舷に島々を見ることが出来ました。艦内での行事は色々とあり、昨日は「レイテ沖洋上慰霊祭」が夕方行われました。 赤道は明日夜に通過の予定で「通過時刻当てクイズ」が投票で行われています。赤道祭は明後日1日かけて行われ乗組員さんもこのときは大いに楽しむようです。

さて、写真は(風景ばかりですみませんが)一つ目が昨日通過した熱帯収束帯付近の厚い積雲と多重の雲の重なりが見え、二つ目が今日の明るい空と島の風景です。

艦内の食事は航海中は6:15, 11:45, 17:45と決まっていて「配食?用意」で食堂に向かわねばなりません。 観測隊員5名は士官室扱いで30名程度が艦長、副長、日直を除き席をくじ引きで決め座ります。 2歳年上だけなのですが、やはり艦長の前の席になったときは緊張しました。 東京商船大学時代に内地留学で大津先生のところに1年越中島に通ったことがあるということで、既に自分も本学に居た頃でした。


熱帯収束帯付近に発生している雲の様子

日中の空と島@フィリピン

2010/11/13:しらせ出港

11/11には、多くの方から晴海ふ頭までの直接のお見送り、メールや電話でのご連絡誠にありがとうございました。 しらせは18ノット程度で順調に南下を続け、今日の正午には台湾と同じ緯度まで下っています。 多少の揺れはありますが、全く苦になりません。

今回は出港後最初のメールということで、Nさんが送ってくれた出港直後のしらせの写真を添付致します。


出航するしらせ

2010/09/18

入り組んだ舞鶴湾・若狭湾を抜けて日本海を航行すると、翌朝9/16には真っ青な海と空に囲まれ、エアロゾル観測データも空気がきれいなことを示していました。 博多湾には9/18に早朝から入っていったのですが、港に近づくにつれ、どんどんと空気が汚れ、エアロゾル(微粒子)による光の散乱と吸収が上昇しました。 そのピークは接岸時より湾に入る途中にあったように思われます。 特に光吸収が目覚しく変化し、大きな値を取りました。 これは東京湾あたりと同程度です。

このようなときはしばしばurban hazeという汚れた低層大気が肉眼でも観測されます。 多少わかりにくいですが、そのような写真を添付します(丸い建物は博多ドームだろうか?)。

また、恥ずかしながら、大きい船はタグボートで押してもらって接岸するものだということを初めて知ったのでその様子の写真も添付します。 最後はしらせの一般公開と送迎バスを広告するアドバルーンの写真を添付します。


urban haze

タグボート

アドバルーン

2010/09/15

しらせ国内巡航中の訓練(観測準備)で舞鶴港に昨日から来ています。 舞鶴港はしらせ建造の母港で(ユニバーサル造船が建造)、昨日、午後は一般公開で沢山の小学生 から大人まで見学に来ていました(地元ではNHKのお昼のニュースに報道されていま したし、しらせの前では地元発祥と言われる肉じゃがをしらせエプロンをしたお母さ ん方が配っていました)。

そんな中、目一杯、仕事をしていました。自分の扱っているシーロメーターという 雲底高度計の甲板上の写真も添付します。時折激しい雨もあり、夕方の晴れ間には虹が見えました。 今日、夕方16;00には福岡港に向けて出港です。

出港前のしらせ
出港前のしらせ
一般公開に来られた市民の方々
一般公開に来られた市民の方々
甲鈑に設置されたシーロメーター
甲板に設置されたシーロメーター

2010/09/10
8/27のメールの最初の書いた気水圏というのは、観測隊の中での私の担当分野を指します。 大気や海洋を観測研究している分野です。 さて、しらせの晴海客船ターミナルの出港は11/11, 11:00〜12:00くらいですが、時刻のみまだ把握できていません。 昨年の出港については文部科学省のHPに詳細が出ており、出港式は11:30〜、出港は12:00となっているので、それから大きくは変わらないと思います。 来週は14日〜18日にかけ舞鶴ー福岡間をしらせの訓練航海に行ってくるので報告の予定。
今日メールしたのは前から気になっていた本学八十五周年記念会館にあった南極の石を写真に納めたからです。 入り口を入って直ぐ右手に置いてあります。 ふじの時代らしいというのはわかりますが、寄贈者の前田正人氏の名前が南極OB会の名簿を探してもちょっと見あたりません(見逃しているのかもしれませんが…)。 とにかく今は南極の氷以外の一切のものは条約で持ち帰り禁止になっています。 よく見ると普通に転がっている石とは違って溶岩が固まったようにも見えますね。。
本学八十五周年記念会館の南極の石
本学八十五周年記念会館の南極の石

2010/08/27
気水圏の村山です。今日は午後1時より、横須賀の海上自衛隊基地で停泊中の「砕氷艦しらせ」に2回目の観測装置の取り付け・調整に来ています。 僕の担当しているシーロメーター2台はまず順調に動作し、付加的なセットアップも予定していたものは全て終了しました。
エアロゾル直接観測の方まだまだあって大変です。
正面右舷側からみたしらせ
正面右舷側からみたしらせ
しらせのタラップ
しらせのタラップ